発光分光分析の原理

発光分光分析とは?発光分光分析装置の原理

発光分光分析の仕組み


1. エネルギーの供給(励起)

発光分析は、物質を「励起」することで始まります。励起とは、試料に外部エネルギー(通常は熱エネルギーや電気エネルギー、または光エネルギー)を与えて、試料内の原子や分子を高エネルギー状態にすることです。この励起のエネルギー源には、以下の方法があります:
  • 火花放電(スパーク放電)
  • 高温炉(熱放射)
  • レーザー励起
  • プラズマ(特にICP(誘導結合プラズマ)発光分光法など)
励起

2. 発光(基底による放出)

励起された原子や分子は、エネルギーを放出して元の低エネルギー状態に戻ります。このときに電子から光が放出されますが、この光は、物質の種類に固有の波長を持っています。この波長の違いを分析することで、物質の組成や特性を特定できます。
基底によるエネルギー放出

3. 光の分光

放出された光は、分光器によって解析されます。分光器は、光を波長ごとに分ける装置で、プリズムや回折格子を使用して光を成分ごとに分けます。分光器によって分解された光は、検出器に送られます。
光エネルギーの分光

4. 検出と解析

検出器(例えば、光電子増倍管やCCDカメラ、CMOSセンサー)は、各波長に対応する光の強度を測定します。このデータを基に、発光した元素や分子の種類、濃度を推定することができます。波長ごとの発光の強度をプロットすることで、物質の「発光スペクトル」が得られます。

5. 結果の解析

得られたスペクトルデータを解析することで、以下の情報を得ることができます:
  • 各元素の特徴的な発光線(波長)
  • 発光の強度(濃度や存在量に対応)
  • 化学種や分子構造に関する情報
元素の検出、分析

主な発光分光分析法

  • 誘導結合プラズマ発光分光法(ICP-OES/ICP-AES):高温のプラズマを使用して、試料を励起させ、発光線を分析します。主に金属元素の分析に使われます。

  • アークスパーク発光分光法(固体発光分光法/OES):試料にアークを通して励起させ、発光を測定する方法。金属の元素分析などで使用されます。
発光分光分析装置は、高感度かつ迅速に物質の成分分析ができるため、環境モニタリング、金属材料の分析、農業、化学製品の品質管理など、さまざまな分野で活用されています。


発光分光分析装置の用途と適用分野

1. 金属および合金の分析

用途事例:
  • 製造業における品質管理:鉄鋼、アルミニウム、銅、金などの金属合金の成分を定量的に分析します。特に、ICP-OES(誘導結合プラズマ発光分光法)や火花放電発光分光法(Spark OES)が広く使用されます。これにより、製造途中で金属の不純物を確認したり、規定の成分比率が守られているかを確認することができます。

  • リサイクル業務:金属リサイクル業者は、回収した金属の成分分析を行い、リサイクルの効率を高めます。
適用分野:
  • 鉄鋼業
  • 自動車産業
  • 金属加工業
  • 電気機器や通信機器の製造

2. 環境モニタリング

用途事例:
  • 水質分析:水源や工場排水に含まれる金属(例えば鉛、カドミウム、銅など)やその他の化学元素の濃度を測定します。ICP-OESが用いられることが多くなっております。

  • 大気中の有害物質の検出:大気中の有害な金属や微量元素(例:水銀やカドミウムなど)を測定するために、発光分光法が使用されます。

  • 土壌分析:土壌中の重金属や微量元素の分析にも発光分光分析は有効です。
適用分野:
  • 水質管理(環境保護)
  • 大気汚染監視
  • 土壌汚染調査
  • 廃棄物管理

3. 食品および農産物の安全検査

用途事例:
  • 重金属検査:食品や飲料、農産物に含まれる重金属(鉛、カドミウム、ヒ素など)の分析を行い、規定の基準を超えていないかを確認します。ICP-OESを使用して、複数の元素を同時に測定することができます。

  • 土壌や肥料中の元素分析:農業分野では、肥料や土壌のミネラル成分を分析して、作物の生育に最適な条件を提供します。
適用分野:
  • 食品業界(品質管理・安全性チェック)
  • 農業(肥料管理・作物栽培)
  • 飲料業界(清涼飲料水、アルコール飲料の成分分析)

4. 医薬品および化学製品の分析

用途事例:
  • 医薬品の品質管理:医薬品や化粧品に含まれる微量金属の分析。特に医薬品の製造過程で、微量の金属汚染が無いかを調べるために使用されます。

  • 化学品分析:化学製品や試薬の成分確認、純度検査などに利用されます。
適用分野:
  • 医薬品業界
  • 化学品製造業
  • 化粧品業界

5. 鉱物および鉱石の分析

用途事例:
  • 鉱石分析:鉱山から採掘した鉱石の組成を分析し、どの鉱物が含まれているか、どの程度の純度があるかを確認します。ICP-OESを使用して、鉱石中の金属元素を定量的に測定することができます。

  • 地質調査:鉱床の探査や、土壌・岩石中の金属元素の含有量を調査するために用いられます。
適用分野:
  • 鉱業
  • 地質学
  • 鉱物資源の採掘

6. 電子機器および半導体の製造

用途事例:
  • 半導体材料の分析:半導体の材料として使用される金属や合金、ドーパント(微量元素)の分析に使用されます。例えば、シリコンウェハーの純度検査や不純物の検出に発光分光法が活用されます。
適用分野:
  • 半導体産業
  • 電子機器製造

7. 考古学および芸術品の分析

用途事例:
  • 遺物や化石の成分分析:考古学や美術品の研究では、発光分光分析を用いて金属やその他の化学元素を分析し、年代や産地を特定するために使用します。

  • 美術品の保存状態調査:絵画や彫刻の成分を調査することで、使用されている顔料や素材、腐食状態を確認します。
適用分野:
  • 考古学
  • 美術品・文化財の保存

8. 海洋学および生物学的研究

用途事例:
  • 海水中の金属元素分析:海洋学者は海水や生物に含まれる微量金属を測定して、環境の健康状態や生物に与える影響を調べます。

  • 海洋生物の成分分析:海洋生物の組成を分析し、生態系の研究や養殖業の管理に役立てます。
適用分野:
  • 海洋学
  • 生物学研究
  • 養殖業

まとめ

発光分光分析法は、高い感度と迅速な分析が可能で、元素分析に優れた方法です。発光された光を波長ごとに分解し、物質の成分を特定するため、複雑な試料の定量分析にも適しています。主な特長は、非破壊で迅速に測定できる点です。現在、金属・合金の品質管理、環境分析(例えば水質・大気汚染)、材料開発、医療や食品検査など、幅広い分野で活用されています。特に、精度と効率を求められる製造業や環境モニタリングでの使用が増えています。

アメテック スペクトロ事業部が提供している発光分光分析装置

アメテックスペクトロはお客様の分析のニーズを満たすため、誘導結合プラズマ発光分光分析装置(ICP-OES/ICP-AES)、および据え置き型スパーク発光分光分析装置(スパークOES)ポータブル型スパーク発光分光分析装置(スパークOES)を提供しています。

1. 誘導結合プラズマ発光分光分析装置(ICP-OES/ICP-AES)

ICP-発光分光分析装置

アメテックスペクトロが提供するSPECTRO AROCSSPECTRO GreenSPECTRO GENESISのICP-発光分光分析装置は、それぞれ異なるニーズに応じた強力な分析機器です。

  • SPECTRO AROCSは、産業および学術研究アプリケーションにおける、金属、化学、石油化学、その他さまざまな材料の最も高度な元素分析のための最先端の分析装置です。

  • SPECTROGREENは、革新的なデュアルサイドオンインターフェース(DSOI)、ツインインターフェース(TI)、サイドオンプラズマ(SOP)技術の3つのバージョンで利用でき、特定の廃水、土壌、スラッジなどの困難なマトリックス中の元素(微量および高濃度)の超信頼性の高い正確な分析を提供します

  • SPECTRO GENESISは、日常の元素分析業務に力を発揮する高性能、高付加価値のICP-発光分光分析装置です。
どの装置も、多元素同時分析、ユーザーフレンドリーな操作、高精度な結果が提供され、さまざまな業界での利用が期待されています。


2. 据え置き型スパーク発光分光分析装置(スパークOES)

アークスパーク発光分光分析装置

アメテックスペクトロが提供するSPECTROLAB S SPECTRO MAXx、およびSPECTROCHECKの各スパーク発光分光分析装置は、いずれも高精度な金属分析を提供する強力なツールです。

  • SPECTROLAB S は、コンパクトで高精度なスパーク発光分光分析装置です。多元素同時分析が可能で、迅速かつ高感度に微量元素を検出。直感的な操作で効率的な運用が可能で、低ランニングコストを実現します。

  • SPECTRO MAXxは、高精度・高感度なスパーク発光分光分析装置で、幅広い元素を同時に分析。直感的な操作で迅速な結果を提供し、低ランニングコストで効率的に運用できます。

  • SPECTROCHECKは、予算に優しいスパーク発光分光分析装置で、過酷な環境でも高精度な多元素分析が可能。簡単な操作と堅牢な設計により、長期間の安定運用と低コストで効率的なデータ提供を実現します。


3. ポータブル型スパーク発光分光分析装置(スパークOES)

ポータブル型発光分光分析装置

アメテックスペクトロのポータブル型スパーク発光分光分析装置は、軽量・コンパクトで現場での迅速かつ高精度な金属分析を実現。多元素同時分析に対応し、タッチスクリーン操作で簡単に使用可能。バッテリー駆動で屋外やリモート場所での使用にも最適です。

  • SPECTROTESTは、あらゆる金属を対象とする高性能のポータブル発光分光装置として、SPECTROTESTは極めて広範なニーズに対応します。

  • SPECTRO PORTは、SPECTROTESTの多くの利点を小型・軽量化した装置です。 高度なOES技術をハンドヘルド型分析装置の扱いやすさで提供します。