蛍光X線分析の使用は、地質学にそのルーツを持ちます。X線を用いて分析した最初の試料は固体でした。その後、長年に渡り蛍光X線分析の用途は拡大し続け、今や、合金の分析をはじめ、様々な種類の粉体・液体、フィルタなどの分析を含むに至ります。
蛍光X線分析の原理
蛍光X線の発生は、試料中の原子の励起をベースとしています。照射した一次X線(通常X線管球より発生させる)が原子の内殻電子を弾き飛ばし、空いた位置に外殻側の電子が落ち込み満たします。
その際に、蛍光X線が発生します。蛍光X線のエネルギーは両殻(軌道)間のエネルギー差に相当します。
このエネルギー差は原子に固有であるため、発生した蛍光X線のエネルギーを見ることで、どの原子が試料に存在するかを知ることができます。
多くの原子が試料中には存在するため、異なるエネルギーを持った多種のX線が放出されます。エネルギー分散型の蛍光X線分析装置では、試料から発生した蛍光X線が半導体検出器によって収集されます。
X線は検出器内で信号を作り出し、その信号は入射X線のエネルギーに依存したものとなります。それら信号はマルチ・チャンネル・アナライザ(MCA)に収集されます。
このプロセスはそれぞれのX線を一つずつ、しかし高速に処理します。現代の蛍光X線装置に搭載される検出器においては、1秒間に100万カウントを処理できるものも存在します。
これは、準同時測定を可能にします。短い測定時間であっても、スペクトラムは、試料の組成を同定するために使用される、強度を計算するための十分な情報をもたらします。
一方で、測定時間を長くとれば、より優れた統計値を得ることができ、繰り返し精度の向上およびピーク/バックグラウンド比の向上による検出下限のさらなる改善につながります。
試料中のある特定の元素の分析において、高い繰り返し精度が求められる場合、最低数百万カウントの信号量が必要です。
元素の含有率が高い場合は比較的容易に達成可能ですが、含有率が低く、加えて使用している検出器の処理能力が低い(=低い計数率のみ対応が可能)場合にはそれがより困難になります。
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